チーム「PHS ASUKA JAPAN」がヘアーステージに出演。日本美容界の存在感をアピール 英・ロンドンの伝統的な美容イベント「ワールドヘアードレッシングコングレス」の目玉となるヘアーステージには、毎回、ヘアーファッション先進国各国のトップアーティストが登場する。2000年の訪れを祝福する今25回大会では、日本から「PHSアスカ・ジャパン」が出演。いきもつかせぬステージワークで、世界の美容師へ向けて日本美容界の存在感をアピールした。その出演メンバーの1人である美容室アビンスタジオ代表・アビン松沼氏による、ロンドン滞在手記をここに紹介する。 流れのあるステージ構成でヘアースタイルの変遷(へんせん)を表現 「第25回ワールド・ヘアードレッシング・コングレス2000」は1月30日(日)から2月9日(火)までの11日間にわたり、英・ロンドンにて盛大に開催された。ヘアーショーのステージは2月6日(日)7日(月)の2日間でおこなわれ。10チームが出場する中、我々は2日目の午前10時30分から約40分間、Aチーム(80年代ヘアー)Bチーム(90年代ヘアー)Cチーム(近未来ヘアー)の3チームに分かれ、変化に富んだステージを披露した。ダンスミュージックに合わせてウォーキングするモデルが、ステージになだれ込み椅子にすわる。続いてヘアーアーティストが自分のモデルのもとに歩みよる。アップテンポのリズムに合わせて手早くスタイルを仕上げていく。その前では別のチームのモデルがダンシング。その入れ代わり立ち代りという流れの出演で、ヘアースタイルの変遷を表現した。 モデル選びからデザイン構築、観客を唸らせるための試行錯誤 そんな大がかりのステージだから、ロンドン到着初日には、モデルオーデションを行なった。起用したモデルはすべて現地のプロダンサー。幼少の頃からダンスの道を志しているビューティーフェース50名の中から、Aチーム6名、Bチーム5名、Cチーム4名、の計15名を選び出した。 2日間はダンスリハーサル、そして我々はそれを見ながら自分のモデルに合ったヘアースタイルを試行錯誤していた。3日目からは毎晩、各チームが集団の美を表現するための喧々諤々(けんけんがくがく)を繰り広げながらヘアーピースなどの仕込みに没頭。だが仕上げはあくまでも本物志向の地毛で勝負しよう、と話はまとまった。(ちょっとだけつけ毛をつかうが、、、)。そして今回は速いリズムについていけるヘアーづくりが要求されるので、動きのあるスタイル、それでいてステージ下から後ろまで見せる技術が必要になる。ましてや世界各国のアーティストが集まる中で注目されるには、小さなスタイルでも大きく見せられるような動きが欲しい。 私が担当するのはCチーム、近未来スタイルの提案であったが、ヘアー、コスチューム、メイク、どれをとっても大切な部分である。どこにポイントを絞るかという部分でバランスを考慮しながら全体的なデザインを絞り込んでいった。 寝不足、披露との闘いを越え万全を期して、いざ、本番へ 4日目、全グループのランスルーリハーサルに突入した。毎日リハーサルを行なってきたロンドン市内のパイナップルスタジオで各チームが打ち合わせした後、本番の会場となるザ・パラゴンホテルへ。ヘアーアーティストも加わった上でショーの流れを確認した。あっという間の出来事にも思えたが、終了した時には夜の11時を回っていた。明くる日は午前6時半から仕込がスタートだから午前4時半には起きなくてはいけない。カメラマンやスタイリスト、メイクや助手などメンバーを乗せた車が宿泊中のホテルに向かうが、さすがに寝不足で体の疲れも感じている。 2月7日(月)本番当日、宿泊のホテルから会場まではバスで約30分。 午前10時半の開始に合わせて9時半まで最終的な仕込をして備えた。会場の移動途中、緊張する人、場を和ませようと冗談を飛ばす人、表情はさまざまであったが、私は完璧な段取りを繰り返した自身があったので、楽しい気分で本番に臨めた。ただ当日はあいにくの天候で風雨が強く、モデルの髪が心配だったが、大事には至らずホッとひと安心。 多くを学べる海外ステージチャンスがあれば、また、 我々の他、ショー出場の外国チームはパトリック・キャメロン、コベラ、トニー&ガイ、クレイジーファッション、フランク・ブローマン、エロール・ダラス、H.O.B.Z.ヘアー.オブ.ブロードウェイ等々、これらを見るために観客は110ポンド、140ポンド、160ポンド、(現在1ポンド約190円レートは変動します)日本円で約3万円以上もする高価な入場券を購入しなくてはならない。にも関わらず会場は満席、それだけ注目度が高い大会なのだろう。日本では考えられないことだと思う。ヘアーショーが無事に終了して宿泊のホテルにl戻り撮影。モデルさんたちのヘアー&メイク、コスチュームをなおして解散したのが午後2時だった。その夜の船上ディナー&パーティーでは、美しいロンドンの夜景を横目に、モデルさんたちと楽しく飲み、食べ、そして踊った。そして明くる日には日本への帰途に就いていた。 この近年、海外8ヶ国でヘアーショーに出演し、多くのことを学んだ。またチャンスがあれば世界の舞台で自分の作品を発表したいと思います。そこで誰かに認められることを夢見ているし、これから後に続くカリスマ美容師さんたちにも夢を与えられる先輩&経営者になれるよう、他の方々を見習いながら、一生この美容の世界で活躍できれば本望である。 追伸、沢山の美容師が外国へ行っている中で、良い作品が出来た事は大変嬉しいことです。未来に望みをかける時、積極的に行動できたこと、多くの著名人や仲間やお客様の励ましの言葉、大変感謝いたします。 この文面が以下の4ページに掲載されている内容です。
女性モード社の美容の経営プラン2000年5月号にアビン松沼氏によるロンドン滞在手記を4ページ掲載