(13)埼玉新聞[東]2003年2月19日(水)
「極める」心で国際舞台に
美容師の体験 出版
幸手市の松沼さん修行、出会い財産に
美容学校を卒業し19歳で美容店に就職。十年間の厳しい修行時代を乗り越え、十四年前に幸手市内で店を構えてからは毎年、全国大会でトップに入選。1999年の米国を皮切りにロンドンなど世界八か国の国際美容ショーに出演するなど活躍しているヘアーデザイナーがいる。このほど、自分史の本「世界一素晴らしい美容の世界・実録25」を作った。実際に見てきた国際舞台の模様など体験記を盛り込んだ。「自分にとってもバイブルにしたい。これから世界を目指す後輩たちにもぜひ読んでほしい」と話す。この人は幸手市中四丁目で「美容室・アビンスタジオⓇ」を経営する松沼義雄さん44歳。美容師になって25年になる。茨城県五霞町出身。美容学校を卒業後はさいたま市の美容室に。「35人いる店だが、毎年、新人が13、4人入ってきて、1年たつと1人になっている。徒弟制度のように厳しい環境だった。でも耐えた。自分のために修業だと思って頑張った。厳しかったけど、今から思うとそれがよかったんです」修業時代、新人コンテストに積極的に挑戦。全国大会にも何度も出場した。「ヘアーで極めたい、の一心。修業時代のその精神を独立してからも大切にしてきた」89年、幸手市北に店を出して独立。以来、毎年、各種全国大会で優勝を重ね、獲得したトロヒィーは37にも。99年、美容界では数少ない社会文化功労章を受章した大先輩、北村龍彦さんの推奨で米国ロングビーチの国際ヘアー大会に出演。これが「世界」への第一歩になった。台湾、タイ、オーストラリア、韓国、中国など国際ヘアーショーに出演。タイでは王女の前でカット実演、中国広州のショーには8万人観客。2001年の韓国ではカット審査委員を務めた。「世界のレベルを体感できた。いろんな人と出会い、学べた。今度の本では、人に聞いた話ではなく、実際に自分で見てきたことばかり。自分にとっても大事なバイブル。世界を目指す若い人にも指針になると思う」3年前、来日したヘアーデザイナー、英国のヴィダル・サスーンに会えたことが一生の思い出だと言う。「あこがれのカリスマで、二度と会えない人。美容をやっていてあの人と会えたことは幸せ。自分の励みになっています」にこやかに笑う二人の写真が宝物だ。二年前、店は中四丁目に引っ越した。妻美智子さんは東京勤務時代に田中真紀子さんや若い芸能人も数多く担当したベテランだ。(岸鉄夫)
|