(26)読売新聞[茨城] 2006年4月5日(水)第46718号

限界に挑戦112人散髪 五霞の松沼さん 食事抜き13時間半、売上金は寄付
「美容師限界、100人カットに挑戦したい」と五霞町小手指の美容師松沼義雄さん(47)がこのほど、1日112人の散髪を成し遂げた。「地域に恩返しを」と損得抜きで料金は500円。売上はすべて、店がある埼玉県幸手市の社会福祉協議会に寄付した。松沼さんは美容学校卒業後、埼玉県内の美容室で修業を積み、1989年、五霞町に近い幸手しに美容室を開いた。今は妻美智子さん(48)と二人で切り盛りしている。もともとが挑戦好き。カットの技術を競う国内の大会で37回の入賞歴を誇り、海外でのカットショーにも積極的に参加している。「1日100人の散髪ができるかどうか、自分を試そう」と考え、その日を定休日の火曜日と祝日が重なった3月21日と決めた。事前の告知で予約を受け付け、それぞれの希望の髪型をデザイン画を描いておいた。当日はその絵をもとに午前7時半から午後9時まで、1人あたり7分程度のペースではさみを振るった。キャンセル待ちのお客も来たりして、結局、幼稚園児からお年寄りまで112人を散髪した。普段の日にこなすお客の10倍以上の人数だった。トイレには何度か行ったが食事は取らず、ずっと立ちっぱなしだった。切った髪の重さは2キロ。使ったはさみは刃が変形してしまうほどだった。約6万円の売り上げがあり、寄付先の幸手市の社会福祉協議会は車いすの購入などに充てる予定という。松沼さんは「終わった後は達成感でいっぱいでしたが、指にまめはできたし、太ももも痛くなりました。また何か面白いことをやってみたいですね」と話していた。