国際美容協会ビューティクラブ2001年6月号掲載
新日本髪の技術を取り入れながら相反する要素で美しさを構築
受賞のことば
12年間で37賞を受賞し初心と基本の大切さを実感
アビンの店を初めて12年、コンテスト経験も12年。今回は、37賞目となる作品でした。コンテストでは、入賞を目指してそれだけの練習をするわけですが、冒険ができなかったり、逆に成功の見込みのないことをやったりと紆余曲折しましたが、ここに来て、とてお基本の大切さを感じるようになりました。基本とは、行きつ戻りつしながらも、取りあえず止めずに飽きずに商いをすること。先輩から教えられた言葉に「1から始まり10を知り、10から戻る基の位置」というのがあります。最近の自分は戻ってきたような感じで、また1から始めようと思っています。2001年2月、自分の店を持ちました。借り物ではありません。今まで、それに引けめを感じていましたが、ようやく本物の美容師になったような感じです。これからは、これまで以上に気を引き締めて、少しずつですが何かまた新しい作品作りに取りかかれたらと考えています。先輩諸氏を見習い、芸術祭にも積極的にかかわっていければ幸いです。
[ 作品意図と技術ポイント ]
アップ&ダウンのスタイル和と洋、ジオメトリーとアシンメトリー、ヘアースタイルスト&モデル、男と女、本音の建前、表と裏・・・2つの物の間に対応関係が有ること。特に、ある形がある点や線を基準として左右対称であること、この作品の原点は、そんなところにありました。本当の美しさは、全てを知り尽くした上で作られるような気がします。山野愛子先生の新日本髪を習い始めて12年。技術的には、丸髷をきいれいに作ることをポイントにしました。ベースになるすき毛をしっかり作って、芯を硬く、表面は柔らかく・・・。どこから見ても滑らかで、円を描くように仕上げますが、3つ並べつのでモダンなバランス感覚が生まれるよう配慮しました。アシンメトリーのバランスの取り方は、360度良く見ること。モデルさんの顔立ちやメイク、コスチュームもそのバランスを左右していきます。スタイルを自分の目で見るだけでなく、線を通して確認することも大切です。自分で店をはじめてからズ―ッと芸術祭のコンテスト大会に出させていただいており、13年目にして自分の店をオープンすることができました。ここに来て初めて、技術と共にソフト面、ハード面の双方が備わって来ているかなと思えるようになりました。世界6カ国の9ステージでヘアーショーを経験し、読売新聞に2回と夕刊フジにも紹介され、いろんな面で雑誌にも取り上げられました。また、ビューティークラブから声をかけてもらうなどのチャンスにも恵まれ、今回の作品はそんな中から生まれてきたスタイルだと思っています。まだまだこれからも頑張ります。
金賞 松沼義雄 カメラ・衣装・ヘアーメイク・アビン美容室 松沼義雄 担当
第50回芸術祭コンテスト大会上位入賞者作品から
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